大航海時代,スペインの軍艦を操る艦長,ポルトガルの商船を進める商売人,そして名もなき冒険者たち。なんとも頼りない限りの,たった1枚の地図を手に持ち,見果てぬ地へと船を進める。現代であっても,鉄道路線図を見るときの胸の高まり,道路地図を目でたどっていく楽しさ。地図には,いつも冒険心が詰まっている。
IBMリサーチ社らの研究員が,ウェブの地図を作成する研究を行い,その結果を公表した。ウェブは,10%のまったくリンクされていない地域を除くと,4つの領域にわけられる。4つの部分とは,非常に強力にリンクされている部分,そこに接続している部分,そこから接続している部分,そして2・3番目の部分に接続している部分,だ。これは,その地図のかたちから「蝶ネクタイ」理論と呼ばれている。
地図というよりは構造図という感じ。距離という概念がない場所では,平面の地図というものは描けないだろう。「ここ」と「あそこ」は隣り合わせにもなれば,河岸の先ともなる。地図の通りにたどっていっても一向にたどり着けないところもあるし,思いもしないところにはまりこんでしまうこともある。そして,もう戻ってくれないことも…。
それは,航海の隔てが解けた,大航海時代のときめきに似ている。この海の向こうに,なにがあるかはわからない。だが,旅立つことはできる。まだ見ぬ世界,まだ見ぬ天地。冒険心があるかぎり,この地の地図は,どこまでも続いている。冒険心があれば,どこまでも,行ける。
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